Pioneer サイバーナビのデータ通信を「格安SIM」で延長する方法
こんにちは、ぺんつーです。
久しぶりに役立ちそうな記事を書けるネタを仕入れたのでブログに書いてみたいと思います。
目次
- サイバーナビ AVIC-ZH0099 のデータ通信期限が切れた
- 追加のSIMカードを発注する
- 手動で「APN登録」をする(PC/Macが必要)
- サイバーナビ側で電話番号・ID・パスワード設定
- 通信テストしてみる
- 参考文献
サイバーナビ AVIC-ZH0099 のデータ通信期限が切れた
先日クルマに乗っていたら、以下のような見慣れないメッセージが表示されていました。
私のカーナビ (サイバーナビ AVIC-ZH0099) ですが、データ通信モジュール ND-DC2 (セイコーインスツルメンツ製OEM品)を利用することで、渋滞情報や目的地検索などのオンライン情報にアクセスできるような構成になっています。おそらく、似たような構成になっているサイバーナビユーザは多いと思うのですが、実はこのモジュールは利用期限がありまして「購入時から3年間」「追加は更新用SIMカードを購入」という仕組みになっています。
この更新用SIMカード(ドコモでは"UIMカード"と呼ぶ)ですが、2年間の利用で12,000円(税別)となっています。まあ、一月に換算すると500円なのでそれほど高いものではないのですが、途中解約できないSIMにプリペイドするのもレガシーでいやだなぁなんて思っていました。しかも、見た感じはふつうのSIMカードですから、なんとか換装できるのではないかと思ったわけです。
先日、複数の格安SIMカードを「IIJmio」のファミリーシェアプラン(SIMカード10枚プラン)に統一したばかりだったので、このサービスに乗っかればお得なんだけどな…などと考えながら調べてみると、すでに似たようなことをしている方がおりまして…
この方は 0円で運用できるSIMを使った方法を紹介されていました。
0円SIMでできるなら、普通の(?)格安SIMでもできるだろうと思って、早速準備をはじめました。
追加のSIMカードを発注する
IIJmioのファミリーシェアプランでは、3枚までならSIMカードの追加が無料ですので、Webから追加で発注します。この際、追加するSIMカードのサイズを間違えないようにしてください。
私の ND-DC2 は説明書によると「miniUIM」となっていますが、これは一般的な「microSIM」のことです。発注するときは「microSIM」にしてください。
手動で「APN登録」をする(PC/Macが必要)
SIMカードが届いたら、SIMカードを差し替えます。しかし、ただ単に入れ替えるだけではうまくうまく通信できません。
具体的には、通信モジュール側に「APN登録」をする必要があります。クルマに通信モジュールを取りに行って、お手持ちのPCかMacとUSB接続し、シリアルポートにコマンドを発行できればOKです。
WindowsですとUbuntuのマルチブート環境を用意したりしなければならないので面倒くさいので、今回は macOS から行いました。(ちなみに、MacBook Airなどのラップトップをクルマに持ち込んで作業すればその場で検証もできますし捗ります。この作業はネット環境も一部必要になるので、テザリングできる環境も忘れずに。)
minicomをインストール
まずは、シリアルコンソールにコマンド発行可能なソフトウェアを入手します。macOS などは ttyとして認識されるので screen などでも問題ないと思うのですが、何故か私の場合うまくいきませんでした…。 minicomというソフトウェアがあちこちで紹介されていたので、今回はこれを使ってみます。
minicom は Homebrew で簡単にインストールできます。Homebrew をセットアップしていない場合は、こちらを参考に入れておいてください。
$ brew install minicom
minicomを起動
ここで、USBポートに通信モジュールを繋ぐと、/dev 配下の tty デバイスとしてUSBモジュールがでてきます。この名前を探し出して、minicom の -D オプションに指定して起動します。
$ ls -l /dev/tty.*
(デバイス名が /dev/tty.usbmodem1413 だった場合)
$ sudo minicom -D/dev/tty.usbmodem1413
AT+CGDCONTコマンドでAPNを追加
ポートに接続できたら、ここでやっとAPNが追加できます。デバイスとの通信はATコマンドを利用します。20年くらい前にアナログモデムを使ったときにこんなものを見たような気がしますが、まさかまだ現役だったとは…
"AT" + Enterキーを送信して"OK"が帰ってくれば、正常に通信できています。ATZコマンドは「初期化」らしいのですが具体的には何をしているのかわかりません(笑)
> AT
OK
> ATZ
OK
次に、 AT+CGDCONT=?コマンドで設定可能なCIDを調べます。私のデバイスの場合は、3〜16番目までをIP指定可能と帰ってきました。
> AT+CGDCONT=?
なので、CID を 3 にして、APN設定を書き込みます。ここで何番に書き込んだかは後で必要になるので覚えておいてください。
> AT+CGDCONT=3,"IP","iijmio.jp"
AT+CGDCONT?コマンドで、入力した設定が表示できます。
> AT+CGDCONT?
うまくいきましたね。
最後に、AT0コマンドで、保存して終わります。
> AT0
サイバーナビ側で電話番号・ID・パスワード設定
設定が完了した通信モジュールをサイバーナビに繋ぎ、発信先電話番号、SIMの ID・パスワード設定をします。この設定は、メニュー画面から システム設定 - 通信モジュール設定の「マニュアル設定」でおこなえます。
私のナビ AVIC-ZH0099 の場合は以下のような画面でした。
「ID」と「パスワード」は、SIM事業者から提供されているものを入力します。ちなみに、IIJmioの場合は以下のようにします。
「発信先電話番号」の設定ですが、APN設定時に行った CID が必要になります。3番として設定したのであれば、
*99***3#
のように、末尾の # の手前を 3 に設定します。
これで設定はすべて完了です。
通信テストしてみる
後は実際に通信をテストします。「スマートループ」や「天気予報」、「目的地検索」のときに通信しているようですので、これらがうまくいくか試します。通信できていることがわかったときは、結構感動しました。通信速度も速くなったような気がします。
IIJmioの管理ページからも、なにやら通信できていることが確認できました。
以上です。今のところこれでうまく使えていますが、動作保証の範囲外である可能性がありますので、お試しになられる場合は自己責任でお願いします。
参考文献
最後に、その他参考にさせていただいた記事を以下に示します。